どうもインド映画大好き、ビーグル情報館です。
さて、「インド映画にハマっています」と言うと必ず言われる一言があります。それは「インド映画って踊るんでしょ!?」という質問です。
インド映画にとって踊りは大切な要素だと私も思っています。例えば 『クリッシュ 仮面のヒーロー』は、「話は普通なのにダンスシーンが良すぎるから、好きな映画になった!
」作品でもあります。ダンスシーンの完成度は映画の完成度にも大きく関わっているのです。
でも巷で言われている宗教的な理由でキッスがNGだからなど、そこまで考えて映画の中で踊っていないだろうなあと私は思っています。
今回はなぜ踊るのかについて考えていこうと思います。
Contents
まことしやかによく語られるインド映画が『踊る』理由
キスやセックスシーンが宗教的にNGだから
豆知識的に語られる、インド映画が踊るとされる理由です。
よく知られている『きっと、うまくいく』のラストもキスシーンです。この作品は2009年と割と最近の作品なので「昔はダメだったのが、許されるようになってるんだね!?」と言われますがそうではありません。

なぜなら、『きっと、うまくいく』よりも昔の1995年の『ムトゥ 踊るマハラジャ』も作品に熱いキスシーンがあります。
更に、インド映画初のキスシーンは1933年の『カルマ』という映画。

日本映画で初のキスシーンがあるのは『はたちの青春』という映画で、1946年の作品です。実はインド映画のキスシーンの歴史は日本映画よりも13年も先輩だったのです!
そもそもキスシーンは禁止されていないのです。
セックスシーンに関しては普通に全部映すのはNGで暗喩的な表現はOK。【★3.2】『ARJUN REDDY』は結構攻めていました。
あまりにエッチなシーンが多かったり直接的な表現だったりするとインドの基準に沿った年齢制限がかけられます。アメリカや日本でもそれぞれの基準に沿って年齢制限がかけられるので普通のことですよね。
言葉の壁を越えるため
ヒンディー語以外にもたくさんの言葉があるインド。
Credit:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/インドの言語
しかし、インド映画の『踊り』は別に言葉の壁を越えるためではありません。なぜなら言語によって観る映画の層が分かれているからです。
ヒンディー語映画を主に観るのはヒンディー語話者で、テルグ語映画を主に観るのはテルグ語話者と観る層の住み分けがなされているからです。
また、他の言語の層にも売り込みたかったら吹き替えという手段があるので、わざわざ踊りを入れることで言葉が分からない人に雰囲気を伝える必要はないのです。
観る映画の層の棲み分けがされていても、結果として『踊り』が言語の壁を越えるきっかけを作った歴史があります。
それはサイレント映画からトーキー映画に移り変わった際に、忘れ去られていたインド独特の歌芝居の文化がまた息を吹き返し、音楽がインド映画に一体感のようなものを生み出したのです。
この通説を疑った理由
当時はインド映画をたいして観たことがなかった私は、この話を聞いた時は「ああ、インドって広いし宗教沢山あるもんな」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、沢山インド映画を観るうちに踊らない作品も多い事に気付きました。
また実際インドに行った時にテンションが上がると踊り出すインド人を何度か見かけたため、「インド人は単に踊るのが好きなんだな」とインプットされました。
それ以来、「インド映画は宗教的な理由で〜」という話を聞くと「いや、絶対本人達もそこまで考えてない!!」と思ったためこの記事を書きました。
今では、あまりインド映画に興味のない人が「なんでインド映画って踊るんだ?」という問題に自分の常識で納得できる答えを付けただけなのかな、と思っています。
別に『踊り』は必須じゃない
「ムットゥ 踊るマハラジャ」などで踊るイメージがすっかりついてしまったインド映画。インド映画関係者も「ムットゥの呪い」と言うほど、ムットゥ踊るマハラジャによってインド映画は踊るというイメージが植え付けられてしまいました。
別に踊るシーンはインド映画にとって必ず入れなくてはいけないものではありません。特に社会派映画や問題提起色の強い映画は踊りのないことも多いです。
例えば、『ダンガル』など踊りを入れないことによって終始緊張する空気のある映画や、『ガンジスに還る』などドキュメンタリー映画ではダンスシーンが入っていないことも普通です。
しかし、こう言ったドキュメンタリー映画や社会派映画はあまり日本で売れる見込みが立たない為入ってくることが稀で、踊りの多い娯楽作品の印象がどうしても強くなってしまいます。
派手な踊りは、娯楽作品で取り入れていることが多いと言えるでしょう。
なぜインド映画は『踊る』のか?
エンターテインメントの究極系

映画『ダーティー・ピクチャー』でシルクが言い放つ言葉として、
「映画に必要なものを教えてあげる。1にエンターテインメント、2にエンターテインメント、3にエンターテインメントよ。そして私がエンターテインメントよ。」というセリフがあります。
客を楽しませるエンターテインメントを作るには求められているダンスシーンを入れる必要がある…という事でしょう。
『ダーティー・ピクチャー』では客を楽しませるエンターテインメント作品を作っていたシルクが持て囃され、文芸作品ばかり撮る監督との対比も描かれています。
文芸作品ばかり撮る監督が途中でエンターテインメント性の大切さに気付いたら売れるようになったという下りも、インド映画の現状を表しているようで興味深い作品でした。
感情表現の一種
結局、インド全体が踊りが好きで感情表現やお祝いの一部として踊る機会が多いので、「楽しい!踊るか!」とか「よし!めでたいし踊るか!」と同じで感情表現の一種だから。
皆さんも気持ちが昂ぶると踊りたくなりませんか?私はなります。
踊りが好き
今現在、「インド映画って踊るんでしょ!?なんで!?」と言われたら、
「インド人が踊るの好きだからじゃない?」と答えております。
ただただ単純に踊りが好きなんだと思います。
私たち日本人はあまり踊る文化がありません。踊りが好きな人はクラブに行って踊ったりサークルに入るなどして踊りますが、踊りが好きではない人は殆ど一生踊らずに済ませることが出来ます。
しかし、インドは国民的に踊りが好きなのかお祭りや結婚式などのイベントでみんなで踊ったりする機会が多いようです。
みんなで踊ることはは生活の一部でもあり、インド映画の中でも踊るシーンは盛り上がるシーンとして好きなのでしょう。
映画によっては上映中に一緒に踊ることもあります。
いつも『踊り』が入ってるから
インド映画と言えば『踊り』が入っているため、『踊り』を入れないと何か物足りない感じがしてしまう…。だからダンスシーンを入れてしいると言う理由もあると思います。
加えて入れるだけで何となく見栄えも良くなるし、見ごたえも増します。娯楽作品として楽しませる為に派手なダンスシーンを入れるという事です。悔しいことに踊りがいいだけで、話はそこそこでも満足した気分になれるのは不思議ですよね。
派手なダンスシーンや上手なダンスを観るとすごく感動をするので、ダンスシーンは娯楽作品としてのインド映画には必要不可欠だと思います。
歌を売りたいという商業目的
インドでは映画の公開約一ヶ月前ほどに映画の歌のCDが発売されたり、YouTubeにアップされたり、ラジオで流れたり…。
その曲を覚えてから映画を観て「こう言う感じでこの曲は使われるんだな!」と言う楽しみ方をしている人もいるようです。ABBAの曲を聞いてから『マンマミーア!』を観に行く感じでしょう。
また、曲が良かったりPVが良かったりすると見に来てくれる人も増えるため良い宣伝方法になっています。
次に、映画でダンスシーンを初めて見る人に「この歌いい!」と思ってもらうためです。ダンスシーンがいいと記憶に残りやすくなりますし、歌も5割り増しでよく聞こえる…!後で歌を買ってくれる人が増えるからです。
インドの古典音楽以外のポピュラーミュージックは、ほとんど映画の曲ばかりでインドの映画産業は音楽産業も担っていると言っても過言ではありません。
オススメのダンスシーン
バーフバリ
テルグ語じゃなくてごめんなさい…。このダンスのデーヴァセーナ大好きです。
マガディーラ
バイラヴァが飛んでるシーンとか大爆笑するけど、全体的に好きです。
オーム・シャンティ・オーム
派手さがボリウッド〜〜って感じ。
若さは向こう見ず
曲が好き
まとめ
インド映画のダンスシーンについて長々と書きました。しかし、絶対的な正解のある話ではないので、皆さんも好きなようにダンスシーンを受け取ってください。
インド映画のある生活をぜひ楽しんでみてくださいね。
そして、今後ともビーグル情報館もよろしくお願いします!!!
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