
飛行機に乗ってタイムスリップしてしまった…。
前回のベルサイユでの話とは逆に未来へタイムスリップしてしまう話です。
そもそも、未来へのタイムトラベルの事例は数が少なく、タイムトラベルの「答え合わせ」もしにくいためあまり話が伝わらないんだそうです。
1935年
1935年空軍中佐だったゴダードは、第一次世界大戦の終了と共に廃棄処分になったエディンバラ付近のドゥレムの飛行場の視察に送られた。
状態は荒廃しており、格納庫は崩れ落ち、滑走路もヒビだらけ。おまけに羊の群れが彼方此方で草をはんでいる。
その日の午後
この日の午後、彼はエディンバラのターンハウス飛行場から複合機で帰路に着いた。
しかし、やがて彼は厚い雲と豪雨に遭遇する。
雲の下に出ようと試みると、機はスピンをしコントロールを失う。
なんとか地上すれすれで機を立て直す。
前方にファース・オブ・フォースの町が見えた。そこでゴダードは位置確認のため、ドゥレム飛行場を目指した。
飛行場の上空
飛行場の上空に差し掛かったとき、まだ土砂降りは続いていた。
しかし不思議なことに、突如彼はさんさんと照る太陽の光に包まれた自分に気づく。
ドゥレム飛行場も荒廃しておらず、羊もいない。きちんと整備され秩序ある場所に一変しているのだ。
開いた格納庫の前には黄色に塗られた四機が駐機し、青の作業着の整備工がその周辺を歩いている。
ゴダードは驚いた。
当時、英国の空軍機は全てアルミ塗装で、整備工の作業着はカーキ色であった。
更に自分の複合機が超低空で通過したのに、整備工達は上を見上げようもしないことに更に驚く。
彼らは自分の複合機が見えていないのだ、とゴダードは感じた。
また、「陽の光にはなにか天上のような感じ」があるとも思ったのだ。
所属部署に戻る。
部署に戻ると、ゴダードは自分の起きた不思議な事を直属の上官へ報告した。
上官には軽く流されたため、報告書ではその出来事には触れないことにしのだった。
出来事の四年後
それから四年後、第二次世界大戦である。
ドゥレムは彼が見た「幻覚」のドゥレムと全く同じ飛行場に一新していたのだ。
練習機は黄色に塗られ、整備工は青の作業着に変わっている。四年前にはよく確認できなかった単葉機はマイルズ・マジスター機になっていた。
未来へのタイムスリップ
過去へのタイムスリップは、書籍やフィルム、蓄音機などてある程度事象に説明がついても、
未来へのタイムスリップはその時は何が起きてるか分からずより驚きや呆然とするのであろう。